あらすじ 第11話(最終回) 医龍 Team Medical Dragon 2006年 4−6月 フジ 連続ドラマ

医龍 第11話(最終回) 「最後のカード!!新バチスタ手術」 あらすじ

朝田龍太郎(坂口憲二)たちは臨時教授会の時間を狙って、生後9カ月の患者の緊急手術を決行する。手術がはじまったことを知った教授会は騒然。しかし、患者は冠動脈瘤を引き起こしていて、このまま手術を続ければ患者は術中死する可能性があることがわかった。朝田たちは患者の容態が悪く、術前に十分な検査ができなかったため、このことを知らなかったのだ。

 加藤晶(稲森いずみ)は手術の中止を宣言。だが、朝田はバイパス手術を行い、オペを続行すると言う。なぜなら、ここで手術を中止しても、再手術する体力がこの患者にはないためだ。しかし、直径1ミリにも満たない赤ん坊の細い血管をどうやって縫い合わせるのかと、霧島軍司(北村一輝)や野口教授(岸部一徳)をはじめ、見学室やモニターで手術を見ていた医師たちは驚く。そして朝田は、生後9カ月の患者は内胸動脈が未発達なため、右胃大網動脈からのグラフト採取を伊集院登(小池徹平)に指示。その冷静な判断に、鬼頭教授(夏木マリ)も感心する。

 バイパス手術が着々と進行する中、加藤は子供の小さな心臓で変性部位を特定できるのか、朝田に尋ねた。すると、朝田は触診してみて、特定できなかった場合は最後の切り札を使うと言い出す。成功すれば、それまでのバチスタ論文は全て過去のものになるというのだ。やがて、バイパス手術は無事に終了。木原毅彦(池田鉄洋)は霧島にそのことを報告しに行く。朝田たちのチームワークの良さを聞いた霧島は、次第に動揺し始めていた。

 医局に戻った木原のもとに、転落事故で胸部を強打した急患が現れたと連絡が入る。木原が手術室へ向かうと、その患者は霧島だった。人工心肺どころか、輸血用の血液が届くまで、もたないだろうと思われるほどの重体。朝田たちの手術を見学していた野口のもとにも、その連絡が届く。だが、野口はバチスタのほうが大事だと言って、無表情に朝田たちの様子を見つめていた。

 木原は朝田たちの手術室に飛び込み、霧島が事故に遭ったことを報告。霧島を救えるのは朝田しかいないと言う。伊集院や藤吉圭介(佐々木蔵之介)、里原ミキ(水川あさみ)らは、朝田を行かせることを却下。加藤も木原に、手術室を出ていくよう命じる。だが、朝田は霧島の詳しい容態を尋ねた。そして、伊集院に、加藤の第一助手をできるか問いかける。一度は断る伊集院だったが、迷った挙げ句に第一助手を務めることを申し出ると、加藤も15分だけという条件で朝田が霧島のもとに行くことを許可した。

 朝田が手術室に入ると、霧島は既に心停止して30秒。だが、朝田は脳死までの4分半の間に賭けようとする。するとそこに、鬼頭が自ら助手を志願してきた。朝田は信じられないスピードで縫合を進める。脳細胞の破壊が始まるまで、残りわずかとなった時、朝田は縫合が終わっていないにもかかわらず、心臓マッサージを開始。驚く鬼頭をよそに、朝田は心臓の傷を指で押さえた。縫合が間に合わないことを最初から計算に入れ、指で押さえきれない傷や、手の届かない位置の傷を優先的に縫っていたのだ。やがて、霧島は蘇生し、鬼頭は朝田に、あとは自分たちに任せて、バチスタ手術に戻るよう命じる。

 子供のもとに戻った朝田は触診を始めるが、変性部位は分からないようだった。すると、朝田は新バチスタを開始すると宣言。変性部位を特定しないまま、心臓にメスを入れた。続いて、そのまま切開部を縫合すると言う。チームのメンバーも、見学室の教授たちもダメだったのかと落胆。だが、朝田は加藤に、心臓を触ってみるよう、指示する。すると、患者の心臓が小さくなっていた。変性部位を切り取るのではなく、心筋を二重に重ねて、心臓を小さくするという新たな術式。霧島の手術を終え、見学室に来ていた鬼頭はそれをオーバーラッピング法と名付ける。やがて、オペは見事に終了。見学室の教授たちからもどよめきと拍手が起こり、患者の両親も朝田たちに感謝する。

 深夜、加藤はICUの霧島のもとへ行き、その手を握る。霧島もかすかに握り返し、涙をこぼした。教授選は圧倒的な得票数で、加藤が勝利。総長の牧野善久(津川雅彦)は野口に、タイの姉妹校に理事長として赴任するよう、命じた。意識を取り戻した霧島は加藤の教授就任を祝福し、退院したらアメリカに行ってやり直すことを伝える。一方、朝田は鬼頭に、もう一度「万人のための医師団」に戻るつもりだと告げた。そして、病院を去っていく霧島は、朝田に最高の外科医だったという賛辞を送る。

 旅立ちの用意をしていた朝田は、空港まで見送りに行くという伊集院の申し出を断った。必要な時にだけ集まるのがチームだという。朝田は投げやりだった自分を必要としてくれた加藤に礼を言って、一人歩き出した。
やがて、メンバーたちに明真大学付属病院での新たな日々が始まる中、朝田は紛争地域に降り立った…チーム・ドラゴンのバッジとともに。

あらすじ 第10話 医龍 Team Medical Dragon 2006年 4−6月 フジ 連続ドラマ

医龍 第10話 「この命は必ず守る」 あらすじ

 朝田龍太郎(坂口憲二)たちのもとに3人目のバチスタ患者として連れてこられたのは、生後9カ月の子供だった。ただでさえ、術野が小さい上に、単一冠動脈も併発。さらには、臓器や器官の位置が全て左右逆に位置する完全内臓逆位で、朝田でさえも手術が困難。朝田は野口教授(岸部一徳)に手術は断念すると伝え、医局内では今度こそバチスタチームは解散だろうと噂される。

 一方、鬼頭教授(夏木マリ)が提出した教授選の改革案について、臨時教授会が開かれることに。それは教授だけでなく、全医局員が投票できるようにするという提案だった。野口は、その臨時教授会の知らせを苦々しい表情で見つめる。

 そんな矢先、伊集院登(小池徹平)と木原毅彦(池田鉄洋)が当直の日に子供の容態が急変。伊集院の処置で一命を取り留めるが、両親は手術の要請を迫る。しかし、野口教授の許可が出ていないということを朝田も藤吉圭介(佐々木蔵之介)も告げることはできない。

 日ごとに腕を上げる伊集院に霧島軍司(北村一輝)も野口教授も注目していた。そして野口は加藤晶(稲森いずみ)に、患者が明真大学で死ぬようなことのないよう転院を命じる。頭を下げて、そのことを伝える朝田と加藤に、両親は北日本大学と一緒だと言って激怒した。

 そんな中、加藤は以前に聞きかけた霧島の秘密について、鬼頭に改めて尋ねる。霧島の父親は次期総長と目されるほど、優秀な心臓外科の教授だったが、スキャンダルで大学を辞めていた。彼と結婚した理事長の娘、すなわち霧島の母親は夫の人間性に耐え切れず、自殺していたのだ。しかも、幼い霧島の目の前での飛び降り自殺。霧島の異常な執着心と攻撃性は、そんな残酷な体験が影響しているのではないかと、鬼頭は言う。その秘密を初めて知った里原ミキ(水川あさみ)だが、それでも今の霧島を許すことはできないとつぶやいた。

 臨時教授会が行われる日、患者は小児センターへ転院させられることになった。朝田たちは患者をストレッチャーに乗せて、病室から運び出す。 教授会で野口は鬼頭の出した改革案を全面的に支持。その頃、伊集院は霧島の部屋を訪ね、鬼頭の改革案が通っても、教授選は野口の思い通りになるという話について、聞かせてほしいと言う。すると、霧島は鬼頭の提案通り、医局員全員に投票権が与えられてもいいように、主要な医局員たちにポストをちらつかせて、票をとりまとめるように図っているのだと答えた。話を聞き終えた伊集院は、手術用のサージカルルーペを付けないといけないので、コンタクトを付けに行くと言い、霧島は疑問に思う。

 ちょうどその頃、ストレッチャーを押して廊下を歩いていた藤吉は突然、患者の容態が急変したと言い出した。オペをするには教授の許可が必要だが、今は教授会の真っ最中。朝田は教授の許可のないまま、緊急オペを行うと宣言し、藤吉に待機していたチームの面々を手術室に呼び集めさせた。

 霧島は伊集院に、教授会の時間を狙ってオペをしようと仕組んでいたのかと追及。伊集院はだましていたことを謝り、自分には霧島に負けないものが一つだけある、それは仲間がいることだと言う。

 緊急手術が行われることは、会議室の教授陣や医局員たちにも伝わった。見学室から手術室を見た木原は驚く。朝田たちメンバーの立ち位置や人工心肺の置き場所が通常と全く逆。しかも、朝田はメスを左手に持っていた。彼らは完全内臓逆位の患者に合わせた処置の練習を積んできていたのだ。

 野口からどういうことなのかと詰め寄られた霧島だが、オペはすぐに中止になるから、心配はないと言う。術前検査が十分にできていない朝田たちはまだ知らない重篤な病気が隠されているというのだ。それは冠動脈瘤で、このまま手術を行えば、患者は急性心筋梗塞で死ぬ。そのことに気付いた加藤は、バチスタ手術の中止をメンバーに告げた…。

あらすじ 第9話 医龍 Team Medical Dragon 2006年 4−6月 フジ 連続ドラマ

医龍 第9話 「バチスタ手術断念」 あらすじ

 朝田龍太郎(坂口憲二)たちのチームによる第2回バチスタ手術が行われる。加藤晶(稲森いずみ)は、野口教授(岸部一徳)が霧島軍司(北村一輝)を次期教授候補に推薦したことで、教授選に立候補すらできなくなるのでは、と噂されていた。動揺する加藤を見た朝田は伊集院登(小池徹平)に、いざとなったら彼女の代わりを務めるよう告げる。

 前回同様、朝田は心臓を止めないままで手術を始める。荒瀬門次(阿部サダヲ)が加わったバチスタチームは、スムーズに手術を進行。そんな彼らの手術の様子を救命救急の鬼頭教授(夏木マリ)と霧島が見学していた。鬼頭は伊集院や荒瀬、藤吉圭介(佐々木蔵之介)、里原ミキ(水川あさみ)らもいつの間にかオペの状況変化への適応力やテクニックを身につけていることに気付く。そんな各メンバーの姿を見た加藤は感無量。このチームは自分が守ると、霧島を見ながらつぶやく。

 手術は無事に終わり、野口の部屋を訪ねた加藤は、朝田の触診に頼らずとも変性部位を特定する方法をバチスタ論文のポイントにしたいと言う。だが、野口は、教授選に立候補もできないのに、今さら論文でもないだろうとチーム解散を宣告。それに対して、加藤は自分ももう教授になるつもりはないと言う。若い芽が育っているチームを残し、変性部位の特定法を確立してほしいだけだと言い、それまでの研究データを野口に差し出した。

 やがて、加藤はバチスタチームの慰労会を開催。チームは存続させるので、霧島のもとでバチスタを切るよう、告げる。だが、ミキは北日本大学にいる友人の看護師から聞いたと言って、霧島は薬物投与によって日常生活が送れるレベルの患者にもバチスタ手術を行っていたらしいと報告。論文の成績を上げるために、切らなくてもいい患者を切っているというのだ。それを聞いた朝田は、このチームには加藤が必要だと宣言。他のメンバーたちも加藤のいないチームなど考えられないと言い、その言葉に彼女も涙する。

 翌日、朝田は鬼頭に、加藤が教授選に立候補できるよう、推薦してほしいと頼んだ。そうしてくれれば、自分はERに移るというのだ。だが、鬼頭は野口が出した教授選改革案に反対することはできないと言って、去っていく。
 そんな中、伊集院は霧島から呼び出された。霧島はバチスタ手術の時の伊集院の頑張りを賞賛し、自分の下で働かないかと誘う。驚く伊集院に、霧島は自分の可能性を捨てるのかと追及。伊集院は、霧島の言葉を振り切るように部屋を出ていく。

 やがて、教授会が開かれ、野口の出した改革案に関して多数決が採られることに。すると、鬼頭が立ち上がり、野口の案を絶賛した後、別の改革案を提出すると言う。現在、教授だけが持っている投票権を全医局員にまで広げようというのだ。さらに、彼女は霧島の対立候補として、加藤を推薦すると宣言する。

 そして、3人目のバチスタ適応患者が見つかった。あちこちをたらい回しにされた挙げ句、系列の病院から転院されたばかりの患者だという。患者の両親からカルテを渡された藤吉は、当初は北日本大学に入院していたことを知る。さらに、カルテを読み進んだ彼は言葉を失った。臓器や器官の位置が左右逆に生まれつく完全内臓逆位という疾患がある上、拡張型心筋症のほかに単一冠動脈も合併。しかも、術野の至って小さい生後9カ月の赤ん坊だった。北日本大学での担当医は霧島。いったん受け入れておきながら、いずれ明真大学に運ばれるよう、系列病院に転院させていたのだ。

 野口はそんな困難なオペは断固として許可できないと、加藤に告げる。それに対して加藤は、切らなくてもいい患者を切り、本当に手術の必要な患者を見殺しにするような霧島が次期教授になっていいのかと反論。野口は加藤に信念が強過ぎると言い、失脚を通告する。

 朝田たちはこのバチスタ手術を行うべきかどうか話し合った後、結論を出した。朝田は野口には自分が伝えに行くと言う。その結論を霧島の部屋に密告しに行く男の姿があった。それは、伊集院だった…。

 そして、野口の教授室を訪ねていった朝田は、3人目のバチスタは断念すると告げる。

あらすじ 第8話 医龍 Team Medical Dragon 2006年 4−6月 フジ 連続ドラマ

医龍 第8話 「奇跡を起こす医師」 あらすじ

朝田龍太郎(坂口憲二)はバチスタチームに加える臨床工学士と会うホテルに出向き、そこで、霧島軍司(北村一輝)と偶然再会。霧島もまた、誰かと待ち合わせのようだった。

 明真大学付属病院の教授会では、野口教授(岸部一徳)の退官に伴う次期教授選の骨子が発表された。選挙とは名ばかりで、後任教授は野口の指名によって、ほぼ決定する。本来なら加藤晶(稲森いずみ)で決定のはずだったが、先だってのバチスタ手術をめぐる失態で、彼女は指名されないだろうという噂が医局内に流れていた。

 教授会が終わる頃、野口の反対派・祖父江教授が、ペースメーカー不良問題など、不祥事が続く大学病院の制度をこの機に見直すべきだと発言。それに対して、野口は次の教授会で改革案を提出すると言う。

 一方、伊集院登(小池徹平)は荒瀬門次(阿部サダヲ)がバチスタチームに加わることに反対。製薬会社から金をもらって、患者を実験台にした論文を書いた男など、入れるべきではないと藤吉圭介(佐々木蔵之介)に提言していた。そこへ、吸引麻酔薬でふらついた荒瀬が現れる。見かねた藤吉は伊集院に、荒瀬を家まで送っていくよう頼んだ。だが、荒瀬は家には帰ろうとせず、伊集院を連れて、行きつけのバーに入り、伊集院にも酒を勧める。そこにはバーテンダーの山口香(奥菜恵)という女性がいた。

 朝田は鬼頭教授(夏木マリ)から、救命救急部に移る気はもうないのかと聞かれた。教授会で突き上げられた野口はバチスタチームを切らざるを得ず、胸部心臓外科に朝田の居場所はないのではというのだ。さらに、彼女は荒瀬が論文がらみのバチスタ手術に加わることはないと断言。だが、朝田は自分とオペをすれば、チームに加わる気になるとつぶやいた。

 同じ頃、バチスタ手術成功の新聞記事を持った夫婦が、北日本大学の霧島を訪ねてきた。その夫婦には拡張型心筋症の息子がいて、移植しか助かる道はないと言われたが、日本では15歳未満の子供の臓器提供は認められていない。海外に行くにも莫大な費用がかかるため、霧島にバチスタ手術を依頼しに来たという…。夫婦が帰った後、霧島はベッドに横たわる患者を不敵な表情で見つめた。

 香は伊集院に、荒瀬はかつては一滴も飲めなかったのだと告白。前の大学病院で例の新薬に関する論文に関わり始めた頃から、酒の量が増え、荒れていったらしい。伊集院はその論文で何人もの患者が死んだのだと言うが、香はそのことを知っていた。やがて、香は荒瀬にだし巻き卵を作るため、みりんを買いに出ていく。なぜだし巻き卵なのかと尋ねる伊集院にマスターは、酒を飲むばかりで何も食べない荒瀬だが、彼女の作っただし巻き卵だけは食べるのだと答えた。その後、伊集院は酔いつぶれた荒瀬を置いて店を出ていく。

 店を出た伊集院は黒山の人だかりを見かける。近くのコンビニに強盗が入り、銃を発砲して逃走したらしい。撃たれて倒れているのは香だった。伊集院は止血を試みるが、手に負えない。そこへ、荒瀬が現れ、絶妙な処置で止血した。やがて、救急車が到着し、伊集院は明真大学に搬送するよう告げる。

 救急車の中で伊集院とともに処置に当たる荒瀬の脳裏に、香とのさまざまな思い出がよぎる。血圧も脈拍も微弱になっていく中、香の口がかすかに動いた。だが、荒瀬は耳をふさいで聞こうとせず、伊集院に代わりに聞けと言う。金のために人を殺した医者などに、最期の言葉を聞いてほしいはずがないというのだ。耳を近づけた伊集院に言葉を告げた直後、香は心肺停止する。

 救急車が明真大学に到着し、伊集院は朝田に「病院到着時心肺停止」でもう間に合わないと告げる。だが、朝田は勝手に決め付けるなと言って、処置室へ。心臓マッサージを施すと、モニターの波形が振れた。すぐにオペ室へ運べと命じる朝田だが、看護師は銃創を扱ったことのある医師はいないと言う。すると、朝田はERの本場アメリカ帰りのスペシャリストがいるだろうと言い、鬼頭を連れてこさせる。

 鬼頭を第一助手として、手術が始まる。手術室に入ろうとしない荒瀬に伊集院は万一の時に腕のある医師が必要だと言って頭を下げた。見学だけだと言って手術室に入った荒瀬だが、麻酔医の作業にしびれを切らせ、自分が代わると宣言。朝田に向かって、メスだけに集中させてやるから、絶対に助けろと言う。言葉を交わすこともなく、絶妙なコンビネーションを見せる朝田と荒瀬のおかげで、手術は無事に終了。鬼頭は朝田に、荒瀬をよろしく頼むと告げた。

 手術後、朝田と荒瀬は、お互いの腕を認め合う。そして、荒瀬は報酬は今日の治療代でいいと言って、2人目のバチスタ手術が決まったら教えろと告げた。

 加藤は野口に、荒瀬の加入でバチスタチームが揃ったことを報告。だが、野口はそれには興味なさげに、形骸化した教授選を改革するため、本来通りの公募制にすると言う。加藤を教授に推薦するのをやめて、外部から招くというのだ。やがて、朝田は廊下で霧島とすれ違う。野口が次期教授に推薦しようとしているのは霧島だった…。

あらすじ 第7話 医龍 Team Medical Dragon 2006年 4−6月 フジ 連続ドラマ

医龍 第7話 「絶対許せない男」 あらすじ

 朝田龍太郎(坂口憲二)たちのチームによるバチスタ手術は成功。加藤晶(稲森いずみ)や野口教授(岸部一徳)は満面の笑みで記者会見に臨む。だが、翌日の新聞の紙面を飾ったのは霧島軍司(北村一輝)らが北日本大学でアメリカとドイツの名医を助手にバチスタ手術を成功させたという記事だった。すぐに加藤は霧島に電話するが、留守番電話になったきり。

 朝田もバチスタチームも終わりだという噂を耳にした伊集院登(小池徹平)はいたたまれない。しかし、鬼頭教授(夏木マリ)はバチスタ手術に関する論文で北日本大学に先を越されれば、加藤は失脚、バチスタチームは解散となり、朝田を救命救急部に手に入れやすくなると期待していた。そして、鬼頭は朝田に、バチスタチームのことで話があるから、時間を取ってほしいと告げる。

 野口は加藤に明真大学がバチスタ手術を行う情報が、北日本大学に漏れていたのではないかと追及。加藤は焦るが、来週には2人目のバチスタ手術を行い、論文の内容にも新しい切り口を加えると言う。そんな加藤に、野口は論文で北日本大学に先を越されるようなことがあれば、明真大学を辞めてもらうことになると告げた。

 そんな中、藤吉圭介(佐々木蔵之介)がナースステーションにカルテを取りに行くと、里原ミキ(水川あさみ)の様子がおかしい。バチスタ手術の際の看護師の権限を越えた医療行為については一件落着したはずだと言う藤吉に、ミキはそのことではないと言い、自分と霧島との関係について語る。実は、霧島とミキは異母兄妹だった…。

 霧島の父は大病院を経営する医院長。ミキの母親はその愛人だった。正妻と離婚した後、医院長はミキを認知し、母親とともに霧島家に引き取った。だが、ミキたちは霧島家で家政婦同然に扱われる。やがて、ミキは高校を卒業して、看護学校へ行くことを決心した。看護学校を卒業し、北日本大学で看護師として働き始めたミキは初めて朝田の姿を見かける。教授たちに反抗的で手に負えない朝田だったが、霧島は彼の天才的な腕を高く評価し、自分の論文症例の執刀医を任せていた。
だが、ある日のオペ中に朝田と霧島は意見が対立。執刀医は自分だと言って、意見を貫いた朝田の判断で患者は救われる。その後、霧島はミキにもう朝田には近づくなと忠告。朝田と自分を比べられるのが恐いのだろうとミキから指摘された霧島は激怒する。

 そんなある日、学会の懇親会に出席した霧島に代わって、患者を診ていた後輩の医師が診断ミスを犯した。患者の容態は急変し、当直を務めていた朝田が手術するが、死亡。教授に事情を聞かれた霧島は、担当医の欄を朝田の名に書き換えたカルテを差し出し、彼の誤診だと偽る。朝田は反論しようとするが、教授は日頃から反抗的だった彼よりも、霧島の言葉を信じた。
 この事件を機に、朝田は医局を捨てて、NGOへ。ミキも辞表を出して、彼の後を追う。やがて、二人は帰国するが、霧島の根回しもあって、朝田を受け入れてくれる病院などなかった。そんな時、朝田をスカウトしに現れたのが、加藤だった。

 全てを聞いた加藤は霧島と会う。霧島はなぜ朝田などに頼ったのかと言い、加藤に別れを告げた。雨に打たれて嗚咽する彼女の前に朝田が現れ、傘を差し出す。医局に戻った加藤は朝田に、霧島と付き合っていたことを告白した。

 鬼頭から荒瀬門次(阿部サダヲ)はバチスタチームには参加できないと告げられた朝田は、伊集院に彼のことを調べるよう、命じた。すると、かつて荒瀬がある麻酔導入新薬に関する論文に関わっていたことが分かる。その薬は開発当初、心臓に悪影響をもたらすことが問題視されていた。だが、医局員たちは教授の指示を受けて、多額の金品と引き換えにデータを偽装。新薬は認可されたが、トラブル続発でほとんどの病院が使用を中止した。だが、荒瀬のいた大学病院はさらに何十例も使用し、多数の患者が死亡。荒瀬はそんな人体実験に関わった男だったのだ。

 鬼頭は朝田に、荒瀬がチームに入ることはなく、バチスタ2人目は切れないのだから、ERに来るよう、告げる。だが、朝田は荒瀬に、バチスタチームに入れと頼んだ。断る荒瀬に朝田は、最高の麻酔医なら最高の外科医と組みたくなるはずだと言う。そして、過去など関係なく、バチスタに必要なのは腕の立つ麻酔医だと、チームのメンバーや鬼頭たちを前に宣言した。

 その後、あるホテルに出向いた朝田は、霧島と偶然再会する。

あらすじ 第6話 医龍 Team Medical Dragon 2006年 4−6月 フジ 連続ドラマ

医龍 第6話 「バチスタ手術急転」 あらすじ

ついに朝田龍太郎(坂口憲二)たちのチームによる奈良橋文代(江波杏子)のバチスタ手術が始まった。第一助手の加藤晶(稲森いずみ)、第二助手の伊集院登(小池徹平)、看護師の里原ミキ(水川あさみ)、内科医の藤吉圭介(佐々木蔵之介)も手術室に入った。そして、鬼頭笙子教授(夏木マリ)や野口賢雄教授(岸部一徳)をはじめ、多くの医師たちが見学室やモニターで手術の様子を見つめていた。

 人工心肺の装着が完了し、加藤は臨床工学士に心停止液の注入を開始するよう指示する。だが、朝田は心臓を止めないままで手術を進めると宣言。加藤も見学していた医師たちも驚く。動いたままでの心臓の手術は細胞組織が劣化せず、手術後も患者の体に負担がかからない。だが、停止した心臓を手術する場合の100倍は難しく、患者が死ぬ可能性も高かった。そんなことになれば、加藤の論文どころか、野口まで責任を取らされることになる。なぜそんな危険な冒険をするのかと、見学室は騒然となるが、加藤も伊集院もミキも、朝田を信じてついていくしかないと覚悟を決めていた。

 スタッフワークの良さで、手術は予想以上の早さで進行。いよいよ、バチスタ手術の本番である変性部位(悪い部分)の切除に入る。バチスタ手術において肝心なことは、どのようにしてその部位を見つけるかだったが、それを正確に特定する方法は未だ確立されていない。加藤はその方法を論文で書こうとしているのだ。だがここで、患者の心臓に手を当てたまま、朝田の動きが止まった。見学室の医師たちは変性部位が分からないのか、と驚く。そのとき、鬼頭は朝田の狙いに気が付いた。彼は変性部位と正常な心筋の違いを、心臓の動きで判別するため、心臓を止めないままで手術を始めたのだ。ゆっくりと目を開けた朝田は、変性部位を特定。見学室の医師たちはその判断に驚く。
 だが、鬼頭は麻酔医や臨床工学士が、朝田のペースについていけなくなっていると指摘する。案の定、臨床工学士は気分が悪くなったと言って、退室。すると、伊集院は動脈血の色が黒ずんでいることに気が付いた。人工心肺のトラブルで、このままでは患者は心停止で手術中に死んでしまう。朝田は工学士補佐に人工心肺のチェックを命じるが、彼は焦るばかり。朝田と加藤は、伊集院に人工心肺のほうへ行けと指示する。彼の操作で血液は無事に元の色に戻った。

 やがて、縫合が終わり、バチスタ手術は終了。教授たちからも拍手が起こる。だが、人工心肺の離脱が済んだところで、朝田は患者の心筋の動きが悪くなっていることに気が付いた。このままではバチスタが成功しても、患者は助からない。朝田は引き続き、バイパス手術を始めると宣言。人工心肺を再装着すると言う。だが、伊集院は機械を触っていたため、手洗いをしないと術野に戻れず、人手が足りない。藤吉は伊集院に、大至急手洗いしてくるよう、命じる。
 だが、伊集院が戻るまでバイパス手術を待っては、心機能が回復しなくなる。誰がグラフト採取するのだと訪ねる加藤に、朝田はそれをミキに命じた。看護師がメスを握るなど、日本では許されず、教授たちは騒然。加藤や麻酔医も、朝田に猛反対。野口は手術室に内線を掛け、何が何でも止めさせろと叫んだ。朝田は加藤に深々と頭を下げ、ミキのグラフト採取を認めるよう、懇願。藤吉も野口からの電話を切り、ミキはメスを握る。そして、手術は無事に終了した。

 その頃、北日本大学でも霧島軍司(北村一輝)が外国人医師2人とともに、オペを行っていた。無事に終えた彼は、加藤たちの手術に思いをめぐらせる。

 野口は加藤に、ミキの行為について追及。加藤は患者の命を助けるための適切な対応だったと言う。さらに、彼女は記者会見を開くことになったと告げ、そんな中で処分者を出しては、手術に問題があったと思われてしまうと進言。野口もどうにか納得し、記者会見に臨む。

 朝田は鬼頭に、荒瀬門次(阿部サダヲ)をバチスタチームにもらう話はどうなったと確認。鬼頭は荒瀬の過去を知った上で、それでも使いたいのなら構わないと言い、そばで聞いていた伊集院は驚く。

 一方、ミキは他の看護師たちから避けられるように。看護師長は彼女に、今後はどんなことがあっても、越権行為はしないと誓うよう、告げる。だが、ミキは患者の命が救えるのなら、これからもやると宣言。そのときはそれなりの処分を覚悟するよう、告げる看護師長だったが、個人的には医師よりも絶妙なグラフト採取をやってのけるのを見て、すっとしたと言って去っていく。その翌日、朝刊を持った伊集院が大慌てで医局に飛び込んでくる。その紙面を飾っていたのは、霧島らが北日本大学で日本初のバチスタ手術を成功させたという記事だった…。

あらすじ 第5話 医龍 Team Medical Dragon 2006年 4−6月 フジ 連続ドラマ

医龍 第5話 「バチスタ手術開始」 あらすじ

朝田龍太郎(坂口憲二)は加藤晶(稲森いずみ)から、バチスタ手術を行う患者の候補が決まったことを告げられる。拡張型心筋症の患者はふたりいて、ひとりは16歳の女子高生・村野里奈(東海林愛美)。もうひとりは55歳の主婦・奈良橋文代(江波杏子)。藤吉圭介(佐々木蔵之介)によると、このままだと里奈は余命半年、文代は余命3カ月らしい。差し迫って手術が必要なのは文代なのだが、危険が大きい手術になるため、加藤は成功率の高い里奈のほうを選ぼうとする。だが、文代は8年前まで明真大学付属病院の看護師長を務めていた人物だった。
 そして加藤は、野口教授(岸部一徳)にバチスタ手術のメンバーを聞かれ、第二助手として伊集院登(小池徹平)の名前を挙げる。今年、医局に入ったばかりの研修医だと聞いて異を唱える野口だったが、加藤から本番前に伊集院をテストすると言われ、何とか納得した。

 そんな中、加藤は文代の病室を訪ね、自分の若かりしときに世話になったお礼を告げた。彼女も加藤が助教授まで昇りつめたことを喜ぶが、加藤はこの8年間の医局での毎日を振り返ると心苦しい。そして、彼女には手術はせずに内科的治療を行うことを告げられないまま、部屋を出ていく。

 そんなある夜、加藤と会った霧島軍司(北村一輝)はバチスタ手術が失敗しても、その責任は朝田にかぶせるのだから大丈夫だろうと言う。だが、加藤は必ずバチスタは成功させると言い、霧島もそんな彼女に笑みを見せた。

 やがて、加藤は伊集院に、バチスタ手術前のテストとして、自分のオペの第一助手を務めるよう、命じた。伊集院は朝田が第二助手だとばかり思ったが、里原ミキ(水川あさみ)から彼は外回りの看護師役だと言われ、驚く。その手術が始まり、見学していた鬼頭は伊集院やミキの動きの良さに感心。だが、臨床工学士と麻酔医はダメで、このままのチームではバチスタは失敗すると言う。

 朝田は文代がバチスタ手術を希望していると知り、論文のために彼女を切り捨てるのかと加藤を追及。加藤は自分が教授になるためには、手術を失敗させるわけにはいかないのだと言い放つ。その後、加藤は文代の病室へ。文代と話しているうち、かつて自分の担当患者が亡くなった時、大学病院を改革するために自分は教授になると宣言したことを思い出した。自分の部屋に戻った加藤は、そこに現れた朝田に、バチスタ手術を行う患者を決めたと告げる。

 加藤から文代をバチスタの患者に選んだと言われた野口は驚く。失敗したらどうするのだと言われた加藤は、必ず成功させるために自分が第一助手を務めると宣言した。

 加藤は鬼頭からバーに呼び出され、バチスタ手術が失敗したら、朝田は救命救急部にもらうと告げられる。バチスタは失敗すると言わんばかりの口ぶりに加藤は反論するが、鬼頭は今の麻酔医と臨床工学士では失敗するというのだ。それから、2日後。教授や医局員たちが見守る中、バチスタ手術が始まった。

あらすじ 第4話 医龍 Team Medical Dragon 2006年 4−6月 フジ 連続ドラマ

医龍 第4話 「教授が患者を殺す」 あらすじ

朝田龍太郎(坂口憲二)と伊集院登(小池徹平)が当直をしていると、不整脈を起こした少年、稲垣大輔(伊藤純平)が運ばれてくる。彼はCDショップの出口の万引き防止ゲートを通過しようとしたところで、突然うずくまったのだった。朝田らの処置で事なきを得るが、そこへ新たに2人の患者が不整脈で運ばれてきた。朝田らは一晩に3人も不整脈の患者が運ばれてきたことを不審に思う。診察の結果、稲垣は連日遅くまでの中間テスト勉強、2人目は長時間の麻雀、そしてもう一人は長期のイタリア旅行による疲労が原因と思われた。3人とも心疾患があり、心臓にペースメーカーを入れていたが、いずれも明真大学付属病院及び、系列病院で使われている同じ会社の最新機種。機種の故障等の報告はなかった。やがて、運ばれた患者のうち2人は容態が安定し退院するが、稲垣だけは脈が安定せず、入院することに。

 加藤晶(稲森いずみ)は、野口教授(岸部一徳)の教授室に呼ばれていた。朝田が藤吉圭介(佐々木蔵之介)の娘のオペを行わなかったこと、そして先だっての弓部大動脈置換手術にライバル校・北日本大学助教授の霧島軍司(北村一輝)が執刀し、短い心停止時間で成功させたことについて問いただされていた。やはりバチスタは荷が重いのでは、と嫌味を言う野口に対して加藤は、一カ月以内にバチスタ患者を見つけ出し、野口を大学総長にする、と宣言するのだった。

 そして加藤は、弓部大動脈置換手術の件で霧島に事情を聞いた。霧島は、患者の容態が急変したため北日本大学に運ばれ、やむを得ず自分が執刀したというが、その表情は冷たい。
 同じ頃、救命救急部教授の鬼頭笙子(夏木マリ)は、朝田に年俸を提示していた。朝田を救命救急に呼ぼうというのだ。その提示額を黙って聞く朝田には何か考えがあるようだった。

 そして朝田は、過去のいくつかのカルテを見ているうち、多くの「心不全」「再入院」の文字を見つけ出す。それらの患者の担当医は、どれも沖秀之(袴田吉彦)だった。不整脈で運ばれてきた患者たちと同じペースメーカーを朝田が調べると、そばで携帯電話を使うと停止してしまうことが判明。伊集院に3人が不整脈を起こした時の状況を聞くと、それぞれCDショップの万引きゲート、雀荘の全自動卓、自宅のIHジャーと、いずれも微小電磁波を出すもののそばで発作を起こしていたことが分かる。ペースメーカーの不良が原因だったが、沖によって、全て心不全として片付けられていたのだ。伊集院は確かな証拠もないのに、余計なことをしない方がいいと言うが、朝田は聞こうとしない。

 沖は朝田に、ペースメーカーを調べているというのは本当かと追及。即刻、使用中止にしろと言う朝田に沖は、野口が開発顧問を務めているのだから、無理だと言う。そんな朝田の動きを知った野口は彼に、温泉地にある系列の病院に1週間ほど、出向くよう命じた。そんな中、稲垣の容態が急変。朝田を呼ぼうとする看護師に沖は、自分がペースメーカーを植え替えるから、その必要はないと言う。だが、伊集院は不良品を使うわけにはいかないと言って、ペースメーカーを乗せたワゴンの前に立ちふさがった。無理やりペースメーカーを奪おうとして臨床工学士が伊集院に近づいたその時、手術室に朝田が現れる。彼はペースメーカーを踏み潰し、沖たちはあ然。そこへ、藤吉や里原ミキ(水川あさみ)が別の会社の最新機種を持ってきて、植え替え手術は無事に終わる。

 一連の話を聞いた野口は、朝田と沖を教授室に呼び出した。そして、臨床レポートを書いた沖に「まれに、微小電磁波による誤作動を起こす」と、但し書きを付けるように命じたはずだと言い出す。驚く沖に、野口はペースメーカーの回収と秋田の系列クリニック行きを、朝田に明真復帰を告げた。野口は沖よりも朝田を、つまりバチスタ手術を選んだのだ。

 やがて、朝田は鬼頭に、荒瀬をバチスタチームに欲しいと告げる。優秀な麻酔医を探していた朝田は、ERにいる間、ずっと荒瀬のことを見ていて、その腕を高く評価していた。その後、朝田は伊集院に「お前がチームに必要だ」と言い、伊集院も深々と頭を下げる。一方、バチスタ手術の候補となる患者のカルテを見た加藤は、がく然となる…。

あらすじ 第3話 医龍 Team Medical Dragon 2006年 4−6月 フジ 連続ドラマ

医龍 第3話 「娘の心臓を守れ」 あらすじ

 朝田龍太郎(坂口憲二)は廊下で、亡くなった患者の家族に土下座する藤吉圭介(佐々木蔵之介)の姿を見掛ける。その患者は外科的処置が妥当と判断され、胸部心臓外科で心筋梗塞の手術が行われた。執刀に問題はなかったが、院内感染で術後肺炎を起こして死亡。藤吉は患者を外科に渡した自分のミスだと言う。藤吉は、臨床医としては極めて優秀だが、外科医に患者を渡さないことで医局とたびたびトラブルを起こしていた。そして、加藤晶(稲森いずみ)からバチスタ手術が必要な患者をリストアップするよう要請されたという藤吉だが、やはり自分の患者は一人も渡さないと言い放つ。

 一方、朝田のバチスタチームに入ったことを知った伊集院登(小池徹平)は、手術経験のない自分が選ばれたことに困惑。助手の木原毅彦(池田鉄洋)にもあわれみの言葉を投げかけられ、余計落ち込むことに。さらに朝田に救命救急で働くように言われる。
 同じ頃、救命救急部教授の鬼頭笙子(夏木マリ)は、朝田に救命救急を手伝わせることを決める。それを知った加藤は抗議。鬼頭は、朝田が救命救急で働くことは一時的なことで、実績を積んでもらうためだというが、どうやら何か別の目的がある様子。
 また、朝田は里原ミキ(水川あさみ)から、藤吉には心室中隔欠損という心臓の欠陥で明真大学に入院している娘、樹里(向井地美音)がいることを聞く。手術を行うことは教授たちによって決定していたが、藤吉は内科治療で治せると言って大反対し、医局で問題となっていた。そして、藤吉自身も学生時代に心臓の伝導障害の病歴があると朝田は聞く。

 そんな中、朝田は野口から手術の腕を直に見たいので、心室中隔欠損の患者を用意したと言われる。その患者は樹里だった。だが、藤吉は娘のカルテは絶対に渡さないと言う。加藤は朝田の手術の腕を野口に見せるため、別の弓部大動脈置換手術の患者を用意したと告げた。心停止時間が60分でできれば上出来の手術だったが、朝田はかつて45分で切ったことがあったのだ。
 加藤は、鬼頭が朝田を救命救急に引っ張ったことを恋人の霧島軍司(北村一輝)に話していた。そして、教授たちへのデモンストレーションとして弓部大動脈瘤の患者を朝田に切らせることを告げる。それを聞いた霧島は黙り込んだ。

 ある日、伊集院は木原から、車で横浜みらい病院に除細動器を届けるよう、命じられた。すると、朝田が現れ、ちょうど弓部大動脈瘤の患者に会いに行くから、乗せていってくれと言われる。そこへ、樹里を転院させると言って、藤吉がやってきた。横浜みらい病院にいる同窓の医者のところへ連れていくと聞いた朝田は、彼を伊集院の車に乗せる。
 だが、先方の医師に電話すると、明真の教授ににらまれるわけにはいかないと言って、樹里の受け入れを拒否。他の病院を探すと言って、車を降りた藤吉が突然、心停止で倒れた。

 朝田は伊集院に救急車を呼べと言うが、渋滞で間に合いそうにない。すると、朝田は小型のナイフを取り出し、伊集院に横浜みらい病院へ運ぶ除細動器を持ってくるよう、命じた。こんなところで開胸するなど無茶だと言う伊集院だったが、朝田は指示を曲げない。伊集院はドアをロックして車に閉じこもるが、朝田がその窓ガラスを割って除細動器を持っていく。伊集院にサポートさせて、朝田が藤吉の胸に除細動器を当てると、彼は蘇生。明真の病室で目覚めた藤吉は、朝田が自分を救ってくれたことを知る。

 やがて、藤吉は朝田に、樹里のカルテを見せた。手術はいつだと尋ねる藤吉に、朝田はその必要はない、内科的フォローで充分だと言う。樹里を転院させた藤吉は朝田に、バチスタ手術は外科医だけに任せるわけにはいかないと言い、彼のチームに加わることを宣言した。
 その後、加藤に弓部大動脈置換手術を行なうと告げた朝田だが、その患者は北日本大学に運ばれ、霧島が切ったと言われる。朝田が45分で切ったことがあるというそのオペを霧島は39分で終えたらしい…。

あらすじ 第2話 医龍 Team Medical Dragon 2006年 4−6月 フジ 連続ドラマ

医龍 第2話 「神の手と悪魔の薬」 あらすじ

朝田龍太郎(坂口憲二)は加藤晶(稲森いずみ)から伊集院登(小池徹平)と当直を務めるよう命じられる。それは、独断で手術を行ったことを野口賢雄教授(岸部一徳)の耳に入れない代償だった。

 その日の深夜、急患が運ばれてきて、医局に応援要請の電話が入った。運ばれてきたのは24歳の急性虫垂炎の女性。朝田は伊集院を連れて、手術室へ向かうが何もしようとせず、おまけに伊集院に執刀するよう命じる。まだ4例しか切ったことがないと反論する伊集院だが、朝田は海外ならばその年齢で百例は切って当たり前というばかり。しょうがなくメスを手にした伊集院だが、教科書通りの位置に虫垂が見つからない。朝田のアドバイスも得て、手術は何とか無事終了。朝田は、外科医は実際に切ることでしか成長しないということを伊集院に教えたかったのだ。

 その後廊下を歩いていた二人は、病室から凄まじい女性のうめき声がするのを聞いた。看護師に聞くと、その患者、佐々木文子(加藤治子)は末期の肺癌で、苦しんでいるのは抗癌剤のせいだと告げる。さらにその抗癌剤は製薬会社が開発中の新型で、薬効データ収集のために利用しているとまで聞く。だが、文子も夫の五郎(井川比佐志)も薬が効くと信じていた。 ある日、朝田は明真大学付属病院の看護師になった里原ミキ(水川あさみ)に、文子のCT写真を持ってくるように頼む。そしてそれを見た朝田は、伊集院の意見を無視して、担当医に抗癌剤投与の中止を進言する。しかし、他の医局の方針に口出しするなと却下され、それは野口の耳に入ることとなる。

 そして加藤は、朝田の勝手な行動のために謝罪文を書くはめに。加藤の恋人で北日本大学助教授の霧島軍司(北村一輝)は、そんな朝田の病院内でのトラブルを聞きつつ、加藤にバチスタ手術の進行状況を聞いていた。そして朝田のバチスタのスタッフに、かつてMSAP(万人のための医師団)で朝田と一緒だった看護師が加わったことを聞いた霧島の顔つきは鋭くなる。 そんなある夜、交通事故患者の受け入れ要請が入る。伊集院は了承するが、救命救急部の医師、権藤(小林すすむ)から勝手なことをするなと怒られる。実は搬送されてきた患者は、国籍不明の外国人だった。保険証など持っているはずもなく、病院が治療費を負担しなければならないのだ。権藤は救急隊員に、患者を他の病院へ連れていくよう指示する。

 だが、その救急車の前に朝田が立ちはだかった。患者をストレッチャーに乗せた彼は止めようとする権藤をよそに、伊集院とともに手術室へ向かう。損傷箇所は3カ所のようだが、最後の1カ所が見つからない。伊集院は焦るが、虫垂炎の時と同じだから落ち着けという朝田の言葉も受け、見事に発見。手術は無事に完了する。その様子を荒瀬門次(阿部サダヲ)や権藤が見学室から見ていた。そのことを知った野口は胸部心臓外科の人間が勝手なことをしたと、救命救急部教授の鬼頭笙子(夏木マリ)に謝罪。だが、鬼頭は救命救急部に責任があると言って、患者の入院費用は全額負担すると言う。手術の様子を聞いた彼女は、自分たちでは救えなかったはずの患者を朝田が救ったと考えたのだ。

 伊集院は文子が息子からもらった携帯で、メールの仕方を教えていた。その最中、文子は伊集院に自分は末期癌なのだろうと聞く。だが、伊集院は何も答えられない。二人の会話を聞いていた朝田は五郎に、新薬は効果が望めないと告白。五郎はショックを受けるが、本当のことを教えてくれたのは朝田だけだと言う。やがて、五郎は担当医に、文子を他の病院に移したいと告げた。驚く担当医に彼は、文子を楽に死なせてあげたいのだと言う。数日後、朝田と伊集院は、文子が転院先で息を引き取ったと加藤から聞かされる。加藤は呼吸器内科ともめてまで転院させる意味があったのかと追及。その時、伊集院は携帯にメールの着信があることに気付いた。その文面を見た伊集院は泣き崩れる。ひらがなばかりで打たれた文子からのお礼のメールだった。

 朝田は加藤に、バチスタチームの二人目に伊集院を入れると宣言。反論する加藤に、朝田は医局に染まっていない彼こそ、メンバーにふさわしいと言う。その頃、霧島は明真大学付属病院のロビーにいるミキの姿を見つけ「ここにいたのか」とつぶやき…。

あらすじ 第1話 医龍 Team Medical Dragon 2006年 4−6月 フジ 連続ドラマ

医龍 第1話 「神の手を持つ男」 あらすじ

海辺の片田舎で破滅的な生活を送る「医龍」こと朝田龍太郎(坂口憲二)。ある日、彼の元に一人の女性が現れた。明真大学付属病院心臓外科の助教授、加藤晶(稲森いずみ)。

朝田はかつてMSAP(万人のための医師団)で世界最高レベルの救命医療チーム¥"チーム・メディカル・ドラゴン¥"を指揮した抜群の腕を持つ天才外科医だった。

女性でありながら異例の若さで大学病院の助教授にまで登りつめた加藤は教授選の武器となる論文を書くために、朝田に¥"バチスタ手術¥"をしないかと持ちかけた。その手術は、心臓外科医にとって最高峰の技術を要すると言われるもの。

一年前にMSAPで朝田の天才的な腕を見た加藤は、朝田にバチスタ手術をさせようと、スカウトに来たのだった。その場に居合わせた同じチームの看護師であった里原ミキ(水川あさみ)も、朝田に、この話を受けるよう説得する。

そして、朝田は心臓外科の頂点とも言えるバチスタ手術に興味を示し、再び医師に戻ろうかと思い始めた。

明真大学付属病院では、研修医の伊集院登(小池徹平)が患者よりも教授の顔色を伺ったり、手術の腕より製薬会社の接待を受けたりすることを大切とする大学病院のやり方に苦悩の日々を送っていた。そんな彼の気持ちをよそに、胸部心臓外科の助手、木原毅彦(池田鉄洋)は合コンや製薬会社の接待の毎日。

ある日、朝田は総回診中の野口賢雄教授(岸部一徳)と出くわす。他の医局員と違い、教授をものともしない朝田の態度に野口は不信感を抱く。

その後、朝田は循環器内科講師の藤吉圭介(佐々木蔵之介)が外科医ともめている現場に遭遇。さらには朝田の前に呂律の回らない救急救命部(ER)の麻酔医、荒瀬門次(阿部サダヲ)がふらふらと現れる。朝田は一目でそれが吸引麻酔薬で酔う遊びだということに気付く。そこへやってきた救急救命部教授の鬼頭笙子(夏木マリ)は朝田の名を聞いて、彼のかつての経歴に思い当たる。

その夜、加藤は野口とともに医師会の行われるホテルで北日本大学病院胸部心臓外科の次期教授候補に目される霧島軍司(北村一輝)と会う。霧島と加藤は恋人同士で、ともに将来日本の心臓外科界を背負って立とうと誓い合う仲。加藤は霧島に、かつて北日本大学病院にいた朝田のことを話したが、霧島は知らないと言う。しかし、バチスタ手術をさせるために朝田を明真大学付属病院に呼んだと聞いた霧島は、何故かふと真顔になり…。

そんな中、明真大学付属病院に若い男性が搬送されてきた。ここで、朝田はよもやの行動に出る。

ドラマ背景 医龍 Team Medical Dragon 2006年 4−6月 フジ 連続ドラマ

医龍 Team Medical Dragon」の背景

天才的な医療の腕と統率力を持って、MSAP(万人のための医師会)で世界最高レベルの医療「チーム・メディカル・ドラゴン」を指揮していた朝田龍太郎を演じるのは坂口憲二。彼のポリシーはただ1つ。目の前にいる患者を助けること。そのためには、病院にありがちな秩序やしきたりは、完全に無視する。よって日本の医学会での居場所を失った朝田は、酒びたりの隠遁生活を送っていた。そこへ、大学病院の助教授の加藤(稲森いずみ)が心臓手術の超難関・バチスタ手術を依頼する。一度は捨てた医療への情熱に再び火が点く。

現在もビッグコミックスペリオール(小学館刊)で連載中の『医龍-Teaml Medical Dragon-』をドラマ化。1年半ぶりの連ドラ主演となる坂口憲二が主人公の天才外科医、朝田龍太郎にふんする。

 かつて難民キャンプで世界最高レベルの救命医療チーム「チーム・メディカル・ドラゴン」を率いていた大学病院の外科医、朝田は、大学側からの撤退命令に背いて、現地に残留。そのため日本の医学界から追放され、借金まみれのヒモ生活を送っていた。そんな彼のもとに、明真大学胸部心臓外科病助教授の加藤が現れ、心臓外科医にとって最高峰の技術を要すると言われるバチスタ手術に挑戦しないかと声を掛ける。
その申し出を了承した朝田は新たなチームを作り、腐敗した大学医療の世界に挑みつつ、多くの患者たちの命を救っていく──。

 教授の座を手に入れるための論文の実例とすべく、朝田をバチスタ手術(※)という超難関外科手術に挑ませる助教授の加藤晶役に稲森いずみ。はじめは振り回されながらも、次第に朝田に影響を受けていく研修医・伊集院登役に小池徹平。加藤の恋人でライバル校の助教授・霧島軍司役に北村一輝。
ほかに、阿部サダヲ、水川あさみ、池田鉄洋、佐々木蔵之介、夏木マリ、岸部一徳といった豪華なキャスト陣が顔をそろえる。

 大きな権力に立ち向かう天才外科医と彼が率いるチームの奮闘。リアルな描写、圧倒的なスピード感による新たな医療ドラマの登場だ。

バチスタ手術とは

拡張した心筋症に対する手術のひとつで心臓移植でしか助からないとされた患者の心機能を改善する画期的な方法として注目されたが、極めて高度な技術が必要な上、様々な問題を抱えていた。しかし、その後、地道な改良が重ねられ、今日では成功率は向上している。